新版 役員1年目の教科書

星野 雄滋、矢澤 浩、松林 和彦、三村 健司、高橋 勲

ロギカ書房 ・ 2021年5月

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概要

■新版によせて 2018年12月に初版を発行してから、2 年以上経過しましたが、その間様々な環境変化がありました。 最初にあげられるのは、2020年1 月に日本で初めて感染が確認された新型コロナウィルスにより、日常生活、会社での勤務形態、経済活動が一変したことです。そして、リモートワークによって採用の仕方も評価も育成も働き方も全て変わってきました。これらニューノーマルを見据えた人財マネジメント改革の重要性を改めて認識する必要があります。 2019年8月、米企業の規範である「株主第一主義」の修正が行われ、ステークホルダー主義の経営が宣言されました。このことはわが国でもESG やSDGs への取り組みを一層促進させるきっかけになっています。 2021年3月施行の改正会社法・同施行規則では、役員報酬決定方針の開示が拡充されています。 そしてデジタルトランスフォーメーションDX も話題を呼びました。DX は、IT を活用したビジネスモデルの変革や、それに伴う業務、組織などの変革をいい、デジタル化によりあらゆるものがネットにつながるIOT やAI(人工知能)を使って生産性の向上を目指すことでもあります。一方で、経済のデジタル化は、模倣が容易になることでもあります。このような時代では、模倣や破壊されないために、他社がなしえない独自性の追求・確立が重要課題となります。 以上をふまえ、新版では、下記の項目を追加しました。 ・独自性の追求・確立 ・ニューノーマルを見据えた人財マネジメント改革 ・デジタルトランスフォーメーションDX ・ニューノーマル下の経営 ・ステークホルダー主義 ・SDGs ・ESG ■初版はじめに 役員に就任したその日から、 あなたは「経営者」です。 その覚悟はありますか。 なぜ「役員1年目の教科書」という本を執筆するに至ったか、その理由をお話ししたいと思います。 「役員になれる部長の仕事」や「取締役の役割」といったような本はありますが、役員1年目を対象にしたズバリの本はありません。また新任役員研修を行う教育機関も多く、新任役員は大概そのような研修を受けていることでしょう。 では、なぜ役員1年目の教科書が必要か。それは経営環境の変化とガバナンスの強化という観点から捉えることができます。企業経営の国際化・ボーダレス化、経営環境の変化が常態化しスピードも速く時に激変する時代、それに呼応する形で進展するAIの活用、一方で価値観や人財の多様性、働き方改革が叫ばれている時代においては、役員1年目から環境変化に対応した経営が求められます。その意味では役員1年目も10年目もその使命と役割に大差はありません。端的に言えば1年目から「経営者の立場」で経営することが必要な時代と言えます。 役員が1人でも過去の延長線上の意識で仕事をしたら、大変化の時代に対応することはできません。1年目の役員でも経営のプロとして、経営にあたらなければなりません。そのためには、役員には、覚悟、胆識が求められ、それを担保する経営力が必要なのです。 また、1年目の役員が経営の中枢で機能する組織は、役員間の中で刺激と活性化が進み、高齢の役員が、顧問や相談役として長く残るようなこともありません。役員1年目の教科書は、役員会が活性化すること、ガバナンスが一層有効に機能することを目的としています。 役員1年目から「経営者の立場」で経営するためには何が必要か、その指針を示すことが本書の目的です。 ◎目次 ■第1 章 経営理念とビジョンの浸透、戦略の立案 ① 経営理念・方針の浸透 自分の思いを伝える 三段階での思いの伝達 原点に立ち返る ② ビジョン策定の手法・プロセス 従業員の巻き込み 従業員の目線と経営者の目線 望ましいビジョン ③ 戦略策定プロセスと戦略の本質 「バカな」と「なるほど」 基本戦略 強みを活かす&すてる ④ 独自性の追求・確立 独自性の定義 独自性の確立〈独自性確立&顧客価値向上シート〉 第1 章 まとめ ■第2 章 人財の採用と育成のコツ ① 役員と従業員は立場が異なる ② 人財をマネジメントするとはどういうことか ③ ニューノーマルを見据えた人財マネジメント改革を図る ④ 価値観の合う人財を採用する ⑤ 人財が育つためには ⑥ リーダーシップを発揮する/ 発揮させる ⑦ モチベーションを向上させる ⑧ 人事制度を運用する ⑨ 労務コンプライアンス管理を徹底する 第2 章 まとめ ■第3 章 会計の勘所(経営者目線、役員はここを視る)、役員がおさえておくべき会計ルール ① 財務会計の基礎(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書) ② 会計制度の概要(日本の会計制度・開示情報を理解する) ③ 財務会計の応用 ④ 役員がおさえるべき税務のテーマ 第3 章 まとめ ■第4 章 管理会計のポイント ① 管理会計 ② 損益分岐点分析 ③ 新規投資の採算性(投資の意思決定) ④ 減損会計 ⑤ のれん ⑥ 資本効率と資源配分 第4 章 まとめ ■第5 章 経営目標達成のためのマネジメント ① マネジメントシステムの確立(財務数値管理と活動目標管理の有機連携) ② 予算管理とは ③ 活動目標管理 第5 章 まとめ ■第6 章 情報をお金に換える ① 情報をお金に換える「仕組み」とは ② 情報技術の活用による変革 ③ 経営情報と情報技術の管理 ④ 情報活用に対する会社の方向性 第6 章 まとめ ■第7 章 経営の三大リスクとニューノーマル下の経営 ① 不正リスク ② 不作為リスク(リスクテイクしないリスク) ③ 不人気リスク ④ ニューノーマル下の経営 第7 章 まとめ ■第8 章 持続可能経営 ① SDGs(17のゴールと169のターゲット) ② ESG ③ ステークホルダー主義(株主第一主義からの転換) ④ 持続的成長と中長期的な企業価値向上